企業研修のオンライン化で失敗しないための3つの手順と必須ツール
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働き方の多様化や拠点拡大に伴い、「企業研修のオンライン化」を検討する企業が急増しています。しかし、とりあえず動画を撮って配信してみたものの、「誰も見てくれない」「システムが難しくて現場から不満が出た」と失敗に終わるケースも少なくありません。
この記事では、研修のオンライン化を検討している人事・教育担当者に向けて、心理学や学習理論に基づいた「失敗しないための3つの手順」と、導入すべき必須ツールを分かりやすく解説します。
なぜ今、企業研修のオンライン化が必要なのか?

人材育成の世界には、「ロミンガーの法則(70:20:10の法則)」という有名な理論があります。これは、大人の学びと成長は「70%が現場の経験(OJT)」「20%が他者からの薫陶」「10%が研修などの公式な学習(座学)」で構成されるというものです。
企業研修をオンライン化する最大の意義は、この「10%の座学」を徹底的に効率化し、空いた時間とコストを「70%の現場経験」に投資できる点にあります。全国どこでも均一な知識を事前インプット(反転学習)させることで、現場での実践が劇的にスムーズになるのです。
企業研修のオンライン化における「よくある失敗」と心理学的な罠

メリットが大きい一方で、オンライン化には人間の心理や認知の限界に関わる特有の落とし穴があります。特によくある失敗パターンは以下の2つです。
1. 長すぎる動画をアップしてしまう(認知的負荷の罠)
人間の脳が一度に処理できる情報量には限界があります(認知的負荷理論)。1時間以上の講義動画をそのまま配信しても、PCやスマホの前で集中力を維持できる人はほとんどおらず、途中で離脱してしまいます。
【ある外装リフォーム企業の失敗と成功事例】 最初は1時間の研修動画を配信していましたが、「長くて寝てしまう」と大不評でした。そこで、内容を細分化し「1本8分以内」の動画に作り直したところ、受講完了率が劇的に向上し、その後の実技研修の質も跳ね上がりました。
2. 多機能すぎるシステムを選んでしまう(ヒックの法則)
「あれもこれもできる」と多機能なシステムを導入した結果、操作が複雑になり現場が混乱するケースです。心理学の「ヒックの法則」が示す通り、人は選択肢(ボタンや機能)が増えるほど、決断や操作にかかる時間が長くなり、ストレスを感じます。結果として「ログイン方法がわからない」といった問い合わせが殺到し、事務局が疲弊してしまいます。
失敗しないための「3つの手順」

これらの失敗を回避し、オンライン研修を確実に定着させるためには、以下の手順を踏むことが重要です。
手順1:目的と対象者の明確化
「誰に」「何を」「どうなってほしいか」を明確にします。例えば、「新入社員(誰に)」「ビジネスマナーを(何を)」「現場配属後すぐに実践できる状態にする(どうなってほしいか)」といった具合です。目的がブレると、手段であるはずのシステム選びで迷走してしまいます。
手順2:コンテンツは「短く」分割する(マイクロラーニング)
オンライン研修の鉄則は、1つの動画を「3〜8分程度」に短く分割するマイクロラーニングです。 ドイツの心理学者エビングハウスの「忘却曲線」によれば、人は学んだことを翌日には約70%忘れてしまいます。しかし、短い動画であればスキマ時間に何度も反復復習ができ、記憶の定着率を圧倒的に高めることができます。
手順3:「使いやすさ」を最優先したシステム選び
システム選びで最も重視すべきは、機能の豊富さではなく「マニュアルがなくても直感的に操作できるシンプルさ」です。
【あるプログラミング教室の事例】 全国240教室を展開する同社は、「マニュアル不要で直感的に使える」ことを最優先にシステムを選定しました。結果、導入後も加盟店からの操作に関する問い合わせが「ほぼゼロ」になり、運営側の負担が劇的に軽減されました。
受講者も管理者も迷わず使える「必要十分(Good enough)」なシステムを選ぶことが、成功の最大の鍵となります。
オンライン研修に欠かせない「必須ツール」

研修をオンライン化する上で、最低限揃えておくべき必須ツールは以下の2つです。
1. 動画作成・ホスティングツール
社内の勉強会をZoomで録画し、不要な部分をカットするだけでも立派なコンテンツになります。また、高画質でセキュアに動画を保管・配信するためには、Vimeo(ヴィメオ)などの動画ホスティングサービスの活用がおすすめです。
2. 学習管理システム(LMS)
作成した動画を配信し、受講者の進捗を管理するための「オンライン研修のハブ」となるのがLMS(Learning Management System)です。動画の視聴履歴の取得、未受講者へのリマインドメール一斉送信など、研修運営に必要な機能が揃っています。ここで「誰がどこまで見たか」を可視化することで、「見たふり(言い訳)」を防ぐことができます。
まとめ:小さく始めて、確実に定着させよう
企業研修のオンライン化は、人間の認知の仕組みを理解した上で仕組みを作れば、企業の成長を後押しする強力な教育インフラになります。
まずはこの3つの手順を守り、一部の部署や新入社員研修など、小さな範囲からスタートしてみることをおすすめします。
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